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2008.01.04

おつかれさん、またな。

おつかれ、ホリィ

年の明けた1月2日、朝。
最期までおとんとおかん、そして私を見詰めながら静かになったホリィ。
見送りを済ませた最初の言葉は『お疲れさん』、だった。
真面目な話、今の時点で学生やってたら私、『動物のお医者さん』を読むだけでなく、確実に北大の獣医学部を目指していたと思うぞ。マジで。

ずっと腎臓を悪くしていて、一昨年の七夕の頃には余命2週間を宣告されていた。
それでもお医者さんが首を傾げるくらいに持ち直し、なんとかかんとか二度の誕生日を迎えて16歳と3ケ月、頑張っていた。

去年の暮れにはもう自分から食べたり飲んだりすることもなかったし、腎臓病の典型的な症状である浮腫みと筋肉の硬直のせいで寝たきりになっていた。正直、クリスマスは越せないとも言われていた。
寒いからいつも毛布をかけていたけれど、寒さによるものではない震え――痙攣でカタカタ震えていたのが見ていて辛かったし、あれほど散歩が大好きだったホリィが突っ張った足では起き上がることができなくて、それでも立とうともがく姿は本当に忍びなかった。
少しでも食べてくれるように手を変え品を変えて、大好きなパンやイチゴ、りんごを買ってきてはひと口食べてもう受け付けないという状態が続いた。
利発な子だったから、オムツをしていてもおしっこをしたら鳴いて報せてくれたし、布団の上でおしっこをするという習慣がないから起き上がって外に出ようとする、そんな律儀なところが耐えられなくなりそうだった。
でも、動物を飼うというのはそういうことだ。
人間の経済的庇護の下、家族として迎え入れた以上は最期を看取る責任があり、それがまた、共に過ごしてきたかけがえのない時間に対する義務だと思う。
だから、泣かないことにした。泣いたらそこで終わってしまう気がしたから。

考えてみれば、16年間うちにいるということは、私の人生の約半分と一緒に過ごしてきたのだ。
まぁ、あまり人には胸を張れない生い立ちを過ごした私にとって、ホリィがうちにやってきたのはひとつの決定的な転機だったと思う。
自分以外の存在をかわいがるという経験が圧倒的に不足していた私にとって、自分が守らねばならないと意識して初めて認識した存在だったと思うから。
受験勉強の合間に台所からこっそりくすねてきたカップヌードルを二人で分けて食べたこと、
郵便局のATMに散歩がてら出かけて外に待たせていたら寂しさのあまり卒倒してエラい騒ぎになったこと、
電気毛布代わりに冬に抱っこしてベッドで寝たこと、
そんなことを私がするようになったこと自体、高校生の頃から今に至る私の友人曰く、『ありえない』ことだったのだ。人当たりが悪く、ツンケン尖ってて、ロクに喋らず友達を作ろうとしなかった高校生当時の私からは想像できなかった、と。
そう、ペットと飼い主という関係は、そのまま逆転して私自身が彼女から教えて貰うことがたくさんあったのだと、改めて気づかされた。
毎日毎日、この年末は目が醒めると寝たきりのホリィのところに行っては息をしているのを確認して過ごした。

そして、1月1日。
帰省してきた弟にいっぱい撫でてもらい、びっくりしたことに前掻きして「もっと撫でれ」って催促までしたホリィ。
欲目かな、やっぱり弟が帰ってくるのを待っていたんだと思う。
尿毒症を起こして意識が混濁している状態、それに口を上手く開けないから炎症して歯を悪くしたから鼻が膿んでいたので匂いも分からず、耳は老いからずっと前に聞こえなくなっていた、そんな満身創痍で頑張って年を越したのは、やはり待っていたんだと思いたい。
一晩中何かを伝えるように鳴き続けた明け2日朝。
年末年始は強行軍で、おまけにシフトで働く職種の宿命と諦めていた私が出勤する前を選んだのだろうか、ホリィは旅立った。看取ることができたのはタイミング的にそうそうない、ピンポイントの数時間を待っていたかのように。
雪の日の散歩が特に大好きだった彼女の逝った朝、雪が降ったのは不思議な感じだ。
強張っていた足が、ここ数週間で見ることのできなくなっていたくらいリラックスしているように見えた。
ペットは器物に過ぎない。法律上はそうだ。
ペットと一緒に過ごしたことがない人にとって、たかが犬コロだという意見もまた、理解できる。
それでも私にとっては大事な家族だ、欲目で悪いか。
ああ、辛かったのに頑張ったな、そう思った。おつかれさん、って素直に思った。
顔を綺麗に拭いてやって、鼻が息苦しくないようにしてやりながら、私は初めて泣いた。これを最後にするから、って決めて。



ありがとう、ホリィ。
おつかれさん。
お前、うちに貰われてきて幸せやったか?
もう足動くやろ? 散歩もできるで。
首輪をしていないと不安がって震えるから、いつも通り首輪しような。
食べたくても食べれんかったイチゴと焼豚、いっぱい持たせてやるからな。
お前が行くお寺、雪が降って寒いから、おかんが仕立てた服も持ってけ。
何年か、何十年かしたら、また一緒に遊ぼう。散歩と盗み食いしような。
だからそれまで気長にジャーキーでも食いながら待っとけ。な。
心配するな、お前の娘と息子は、お前よりも長生きできるように大事に暮らすよ。
本当にありがとう。またな。
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