ほんの少しだけでもほっとけないから、ホワイトバンド
2005.08.12 - 23:55 [日常生活雑文]

大学生だった頃、私の通っていた学校に留学生としてやってきていた青年がいた。
たまたま受講教科が幾つか重なっていたこともあり、ごく普通に話をするようになり、共通の友人もできた。
そんなある日、いつものようにみんなでお昼ご飯を食べに学食に赴いた。偶然、バイトの給料日が前日だった私は何も考えずに『今日は奢るわ』と口にした。少なくとも私や、共通の友人にとっては日常よくある光景で、ごく当たり前の会話のように思えた。
唯一、彼を除いては。
ほんに短い時間だけ目を閉じた彼は、私に食事を奢る理由を訊ねた。私は返事に窮した。彼の真剣な目に、軽い受け答えなどできなかった。
『慈愛と施し、哀れみはどれも違うものだよ。私は哀れみを受けるために僧になるのではないし、私の国では哀れみで他人に施しをするほど富んだ人間はいない。国が裕福でないのだから、皆食べるのに必死だ』と。
自分の生活に追われ、他の人に寄付したり募金したりする金銭的余裕は私にはない。でも、出来得る範囲内であればと思う。
彼とはその後、帰国に至るまで話す機会を得ることはできなかったけど、あの時の真剣な眼差しは、眠れぬ夜のつれづれに私の胸を貫く。

ホワイトバンド。
ちっぽけな、何の変哲もないリング。それでも少しは力になれるだろうか。
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