劇場版『機動戦士ZガンダムII -恋人たち-』を観た
2005.10.31 - 02:35 [ガンダム鑑賞・アストナージのふんばり]

おとついですね。
劇場公開初日に観てきました、『劇場版・機動戦士ZガンダムII 恋人たち』(以下、文中『恋人たち』)。
ええ。白状すると。
実は私、『星を継ぐ者』(以下、前作)を観ずに第二作を観たことになります。
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今後の第二部、第三部に期待
これは
かな〜り適当な感じDVDすら観ずにいきなりどうして初日にスクリーン中央を占める最高の席に鎮座していたかというと――。
劇場限定販売のHGUC百式が・・・。
クリアバージョンが欲しかったんですよ。
それだけ。

だもんで劇場のチケット売り場でクールに『限定のプラモデル下さい』って言ったら、営業用のスマイルすら恵んでくれないメガネのおねいさんが『チケットを購入された方、もしくは前売りで映画をご覧になったあとしかご購入いただけません』ってスラスラ用意された返答だったので、同じこと考えてた輩が多かったのだろうと想像。
しかも一人一個の個数制限付き。
やむを得ず、ちょうど40分後に始まる回を仕方なく観たというのがホントのところ。
さすが初日。
普段はそんじょそこらでかからないような小規模かつマニアックな映画を上映している静かな劇場だけにOLのおねいさんとかが結構多いところなのに、今回は違ったね。
チケットにプリントされた整理番号順に五人ずつがシアターに入場、自由席を順次選んで座る方式の完全入れ替え制の劇場。係員さんの『一番から五番のチケットをお持ちのお客様、ご入場どうぞ』とのことばに呼応した観客がやってくれました。
劇場内に入る扉をくぐる瞬間。
百式の入った緑の買いもの袋を抱えたまま一度腰だめになり、
『クワトロ・バジーナ、百式、出る!!』
と小声で入場していきました。
大阪は怖いところです(ある意味)、ママン。
あえて似ているパイロットを探すとするなら、どう見ても『重戦機エルガイム』でアトールVに登場していたマフ=マクトミンみたいな人でしたがねぇ。ガンダムでいうとマなんだけどね。
註:総集編の映画にネタバレも何もあるものではないと思うけど、ここから先は私の『恋人たち』の感想とレビューになります。
事前情報を仕入れないように注意されている方も多いと思いますので、続きはかなりネタバレであることを了承いただいてからお進み下さい。
映画としての感想としては。
・・・。
・・・・・・。
えーと。
なんというか、コレ、映画ではないです。
少なくとも『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Zガンダム』に至る流れと、事細かなZ世界の事情を知らなければ着いて来れんでしょう。
まあ、予備知識を持たない人が観るには特殊な作品なので、大半の人は困らないのかも知れないけど、これはやっぱり映画じゃあない。
やっぱりお金が集まらないんだろうなぁ。完全新作でリメイクとなると。そりゃ今ある映像に何とか繋げることができないと完成すらしないわけで、そういう意味でも繋げ方が苦しかったり時間軸を旧作から入れ替えてる部分も多々あります。
前作を観ていないので確定的な言葉はあえて避けますけど、少なくともTV版オリジナル(以下、旧作)を観ていない人にはストーリーなんて分からんでしょ。旧作の時間軸に一応は沿ってエピソード単位で分解し、演出上何とか最低限話が分かる程度にまで身を削ぎ落として新規シーンを追加しつつ再構成した、という、まあ、御大が昔から得意とする手法です。SEEDで散々コキ下ろされた総集編は新規カットもなく、ナレーションでごまかしてるだけの粗悪品だったので、まあ、そういう意味ではあくまで<劇場で迫力ある画面・音響で観るゴージャス総集編>ですな。
総じて新規のシーンはキャラクターの目が小さく、頬がふくよかな印象。
旧作当時のアニメって金田パースが色濃く残ってたのであまり意味もなくあごのラインを強調する風潮があったので、新規シーンはそれが払拭されていい感じでした。
私は一度しか上映を観てないし、科白を拾ったわけでもないので脳内のあやふやな記憶を総動員しながら以下続きます。
まず冒頭。アウドムラにベルトーチカがコンタクトするまでのカットは新作。素晴らしい描き込み。で、そこからしばらく旧作の使い回し。
すげぇギャップ。正直、劇場内で他の観客の方から失笑が洩れました。
ここからシャトル打ち上げに絡むアッシマーとギャプランの追撃戦が展開されるのですわ。ここはよし。満足しておこう。ブラン少佐の名言も生きてます。
アウドムラがニューホンコンに到着してからが怒涛の展開。
カイの活躍は嬉しいぞ。本人は登場しないけど。で、最初の対サイコガンダム戦はカット。
何でや!
ベルトーチカとカツの痛さ=不快さは旧作ほどではないね。
フォウの登場はスードリ到着後いきなりグライダーキャッチから。
ここからしばし、意識が飛びかける。
あのな。
ゆかなのフォウ、全然ナシ!!!
正確には、ゆかなさんは頑張ってるっぽい。だからフォウ自体がナシ、なのだ。
・・・私は島津派だけど。
問題はセリフのニュアンス。旧作のフォウにはなんつーか、科白の語尾に余韻があったんだわ。それが今作では全然ない。多分ゆかなさんの演技がどうとかではなく、こういう演出だったように感じた。というか、島津フォウを意識的に外した結果という感じ。
うーん、一言で言うと『姉御』なんだな。・・・フォウが。
軍人としても側面を出しながら、カミーユの前でだけは女の子としての側面を抑えずに溢れさせてた女性らしさがないのよ。
『ね、・・・頼める?』が、背中でも掻いてくれい、ってな按配でサァ、アニキ。
そして『灼熱の脱出』。
コレがもう、なぁ。
サイコのコクピットに移る以降の二人の会話はかなり大きく変更されてます。ここは好感度アップ。セリフ自体はね。ただし、すっげーサバサバしてます。余韻の欠片もありません。
自分のことを語るカミーユの言葉に耳を傾け、『・・・それで?』と先を促す優しさと笑顔は描かれておりません。むしろカミーユの勢いに負けて気圧されてます。それよりはカミーユの言葉に心を動かされて自分も共に行動したいと強く願ったというニュアンスになってます。
この辺りは好みの問題ですね。そういう意味では『恋人たち』のフォウは母性的な部分よりも芯の強い男前な部分を前面に出してます。
これが演出によるものか、それとも声の質によるものかは分からないけど、シンデレラは20年前とは違ってました。
・・・端的に言うとキャラ変ってます。
やっぱ失敗ですわ、この配役交代は。キャラ自体の存在感がデカ過ぎで、他の人が演じるには無理がある。ルパンのようにモノマネされてるキャラじゃないんだから、どうしてもなぁ。
せめてDVDでモードセレクトとかにできないか? 島津フォウ版音響録音と、ゆかなフォウ版音響録音をさ。
私ぁユカナ版、二度と観ないと思うが。
フォウ以外にも不満はありますね。
『人の善意を無視する奴は、
一生苦しむぞ、カミーユ!』
このアムロの名セリフ、カット。
ええええええっ!!!
同時系列の描写、再びフォウについて。
ブースターの接続に重ねて描かれるフォウは正直に白状して、旧作よりずっといいです。
カミーユを宇宙に上げることだけを目的としていた旧作と比べ、今作『恋人たち』のフォウは自分自身も「カミーユと宇宙に上がりたい」という信念の下に行動していることが明確に語られるからですわ。
しかしながら新規カットでミハルになった以前に、あの撃たれ方したら例え生まれながらの異能者キリコ・キュービーでも助からないので、もしかしたら三作目には出て来ないのかもと少々連想させる。
キリマンジャロ攻略戦、全面カットか!?
微妙。
あと、これは真っ先にカットになるとは思ってたけど、やっぱりカットされてた。
何より『銀色ドレス』かけろ、コノヤロウ!!
こんなの『灼熱の脱出』じゃないやい、御大!
離脱するぞ、MK-II!!
舞台は宇宙に。
ここからはMS戦が展開→エピソード→またMS戦の王道なんでストーリー的にはあんまり入り込む余地がないです。旧作知らなくてもMS観てたらそれなりに楽しいのでいいかと。
えー、新しいサラの中身の人ファンの方、マウアースキーな方、ご安心下さい。違和感なく鑑賞可能です。
サラは不評とも聞きましたが、旧作の水谷さんはお世辞にも上手いとはいえないので、格段にいい感じです。ただしテイストが少々<今時の女の子>ですねぇ。
一方のマウアーは、とにかくいいオンナです。軍人として規律を守る中に垣間見せる女性の豊かな感情を好演してると思います。榊原さんとまた違った味があります。短期決戦で観る劇場版では林真里花さんは奮闘してるかと。榊原さんはじっくり聞きたい声ですしね。シロッコとのやりとりがもっとカットされずに生きてたなら、榊原さんでないと苦しかったと思うね。
レコアさんのジュピトリス潜入自体が消失してるにもかかわらず、色気ある演技は健在。
そう、あとはメラニー・ヒュー・カーバインとウォン・リー、グラナダ市長の癒着とかが描かれてるのがナイス。
ビデオレターを見て涙をこぼさないブライトはどうかと思うけど、
ヘンケン艦長、漢ですわ!!!
ヘンケン『エマさんをこちら預かりにしてもらいたい。いいよな?』
ブライト『いいよな・・・』
クワトロ『いいよな・・・』
ここは劇場で場内爆笑になりました。
全編修正シーンはカット。『これが若さか・・・』もなし。
シロッコがもう、無残に枯れ果ててて『女性の支配する世界になる』とかほざいても色気ナシ。というか、女性を縛り付ける魅力なんて少なくとも声には全くありません。きっと赤ひげ堂のやっかいにならないといけないのに違いない。
嗚呼、堕ちるとこまで堕ちた、ちんちんに脳みそのあるニュータイプ。
これじゃアンタが非難し続けたNTのなりそこないの方が数段戦局を読んでますわ。
MS戦はよく動いてました。新規シーンは。
Mk-IIのシールド裏にミサイルポッド増設とか、赤く塗り替えたはずのリックディアスが実は黒も併用されていたとか、好きな人には堪らない描写もありますね。
アポリー強いよ、アポリー。
Zの印象はめちゃくちゃ薄いけど。出てきて早々ハンブラビに背中裂かれてるし。
そういえばヤザン、ギャプランでやられた時にジャマイカンを謀殺しなかったな。これも仕様変更点かと。
最後はハマーン様のノーマルスーツ姿とハマーン様専用ガザCの登場で終了。やっぱり榊原良子さんの存在感は飛び抜けてますな。最後の最後で登場してアポリー、カミーユと会話、クワトロと二、三言言葉を交わすだけなのにこの印象の残り方はすごい。ついでにキュべレイを温存した制作サイドのあざとさもすごい。
あと、これだけは言っておきたい。
エマさんにベタ惚れMAXですわ!
旧作ではきゃんきゃんうるさいところがあって好きにはなりきれないキャラだったんですがね。『恋人たち』では都合三回、悶絶するほど炸裂するエマさんが観られます。
・戦闘後に帰還してロッカーでカミーユの肩に背後からあごを乗せ囁くシーン。
・ラーディッシュに配属になってブリッジに着任の挨拶をしに上がり、肌蹴たノーマルスーツの胸元を扇ぐシーン。
・その直後、ヘンケン艦長に背中を向けて敬礼するシーン。
ステキ映像です。
かつて旧作の本放送時、最終回で死亡することが決定していたエマさんを救おうと今ではビッグネームになったMAX渡辺が嘆願書と署名を持って御大を訪れたことが思い出されるね。頼むMAX、もっかいやってくれ。今のお前なら御大も無視できない・・・かも。
総評。
MS戦にお金を出す価値を見出せる人は観るべし。イヴォルヴと同じかな。
コアなZのファンの方も同じく。
その他のディープでないファンの人は要予習ですのでレンタルでいいかと。
映画ファンの人はお金を捨てる気で。これは映画ではありません。
二回、三回と観ることで理解が深まればいいという考え方もできますけど、根源的に予備知識なく一度の鑑賞で理解できない映像作品は映画足り得ないというのが私の持論なので。特に娯楽映画と名付けるならなおさらです。
観る度に新たな発見とアングルがある、というのと、
繰り返し観ないと理解できない、は異なるので。
私は旧作も観てますし、重度のファンなので好むと好まざるとに関わらず脳内補完もすれば足りない部分を相当想像して繋ぎ合わせながら観てしまいますから、この作品は『ガンダム』のレビューではあっても『映画』のレビューではないです。
そして、
エマさんファンは観ろ。
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